■5つの耐震補強方法
耐震補強方法は、簡単に大きく分けて5つほどあります。
1.強度補強。これは建物の固さそのものを固くしてゆくものです。内部で壁を増やしたり、皆様もよく目にする外壁にバッテンマークのブレースなどです。ただしあまりにも多くの壁を増やしてゆくと、固くはなりますが、普通建物はそれに比例して重たくなってしまいます。杭や地盤の状態がよい事を確かめる必要もあります。
2.靭性補強。柱や梁の部材に対して、鋼板を巻いたり、炭素繊維を巻いたりするものです。これにより部材が、せん断破壊することをくい止めることが出来ます。
3.損傷集中の回避。例えば頭でっかちの建物の足元には、地震の応力がかかることが分かると思います。バランスの悪い建物には、その悪いところに応力集中が起きるのです。これを回避し、バランスの良い建物にしてゆくのが損傷回避です。フォレスト東山パークの様に、スリットを入れる事も有効な場合もあります。
4.地震力の低減。地震力は、質量に比例してかかります。つまり重量があればあるほど地震力が増えてゆきます。建物が軽ければ壊れなかったものでも、重ければ壊れてしまいます。ですからなるべく高い位置にある重量物を軽くすることが有効です。木造建物でも屋根瓦をトタン葺きやスレートに変更することがよくありますね。高置水槽をやめて、増圧給水にするとか、看板などを取り外すことなど、出来ることもあります。
この地震力の低減の中には、免震構造化や制振機構の組込などがありますが、コスト面から考えて民間建物では、ほとんど採用されていません。
5.基礎の補強。これに関しても費用が掛かりすぎるという事で、一部公共建築に採用される場合だけで、民間建物には採用されません。
数ある補強の中で、最もポピュラ―なものは、耐震壁を増やすものですので、これを簡単に説明いたします。
耐力壁の効果が同じとすれば、その耐力壁の重量は、重いほうから
鉄筋コンクリート壁≧鋼板壁≧鉄骨ブレース壁
の順になります。ですから基礎条件や地盤条件が悪い地域では、より軽い鉄骨ブレースを採用すべきです。またブレースであるならば、通風や採光もある程度確保される利点があります。さらに今では、非常に高価ではありますが、アルミブレース壁も採用されつつあります。
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