先日、パナソニックの春日井工場視察のご縁をいただきました。

 

視察をしてきて、少しだけ住宅環境の未来が見えた様に感じました。

 

未来を見させてくれたものの一つは、「熱交換技術」です。

 

もちろんパナソニックの技術力は高く、いろいろなものがあります。

圧力制御技術、空気清浄技術、除菌技術や消臭技術等々、一つ一つ技術を持つ、それらの製品は、それぞれに進歩していて、魅力的です。

 

組み合わせてゆけば、どんな未来環境が出来るのかワクワクしてしまいます。

 

そしてそれぞれの製品において地道な努力がある事もわかりました。

 

しかし総合的に見て、この「熱交換技術」を極めてゆくところに、なんとなく未来がありそうで、とても飛躍を感じたのです。

 

もちろん全商品に必要な「省エネ技術」もその一つです。

 

この2つの技術が未来のカギを握っているように感じました。

 

部屋の温度・湿度を一定に保ちながら、換気が出来ることによって、熱効率もあげられます。

 

つまりエネルギーの損失を少なく出来るのです。

 

住宅でも一つのエアコンで、建物全体の環境をコントロールするシステムが、普通に出来そうなのです。

 

高齢の方が住んでいる住宅ならば、温度ムラやヒートショックがない方が良いはずです。

 

つまり住宅も「個別空調」から「セントラル空調」の時代になってゆく気配なのです。

「セントラル空調」と言っても、個々の部屋では、きめの細かい空調環境を実現できるのです。

 

 

 

IAQラボハウスの見学

 

 

このIAQラボハウスは、少し広めの2階建て住宅になっています。

その特徴は、2階にパッケージルームを造り、8PHのエアコン1台で住宅全体を空調していることです。

 

もちろん同時に建築の断熱性能もなければいけません。

 

窓もペアサッシですし、断熱仕様も外壁160㎜のロックウールが入っています。

 

天井も210mmのロックウールでした。半端無いぐらい入っています。

 

この建物は延床面積が70坪弱もあるため、1台の空調でできているところが素晴らしいのです。

 

比較的面積の小さな住宅ならば、すぐにでも全室を一つのエアコンでコントロールできるはずです。

 

日本人の多くは、高齢化しています。

そして尚且つ1人か2人でお住まいの住宅が多いはずです。

バリアフリーの平屋住宅であった方が便利です。

 

セントラル空調システムは社会的にはとても受け入れやすい状況だと思います。

 

これらを可能にする技術が「熱交換技術」と「省エネ技術」なのです。

 

 

RIBOOTスペースの見学

 

またRIBOOTスペースと言われているものが、工場入口にあります。

 

ここでは一瞬で秋の夕暮れとか、春の明け方とかが音と風、照明で演出されます。

 

そんな演出を見て、イギリスの作家、オスカー・ワイルド(1854〜1900年)の有名な言葉を思い出しました。

 

それは「自然は芸術を模倣する」です。

 

これは古代ギリシャの哲学者アリストテレスの言葉、「芸術は自然を模倣する」へのアンチテーゼでもあります。

 

これを少し変えると、

「人工で造りだす環境は、自然の模倣である」のアンチテーゼとして、

 

「自然は、人工環境を模倣する」です。

 

私は、この様にRIBOOTスペースの椅子に座って感じてしまったのです。

 

つまりそれだけ、よくできた気持ちの良い環境なのです。

 

これから生まれてくる多くの人は、造り込まれた環境こそが本物と思い込み、たまたま出かけた自然の中に、今住んでいる環境の一部を見出すようになるのかもしれない。

 

多くの人が完璧な人工環境で生活をすること自体が当たり前になればなるほど、アンチテーゼが現実のものとなってゆく。

 

私たちの未来は、そんな時代になっているのかもしれない。

 

今回、視察に応対いただきました、関係者の皆様には、心より感謝いたします。