1つのプロジェクトが成功するのは、費用と工期がうまくいった時ではないでしょうか?

 

あまり話したくはないのだけれど、今回は工期(竣工日)を遅らせない方法について話してみたい。

何故話したくないのかと言うと、結局のところ、工期(竣工日)が遅れた場合、監理者の責任でもあるからです。

 

発注者が、店舗型の経営をしている場合、計画通りにお店を増やすことによって、売上も予想できた。

これは、しっかりした出店計画が、会社の生命線と言うことでした。

今はコロナの影響で、お店を増やす方向にはいかなくなってきているかもしれない。

しかし今回の話は、ただ単純に、工事をして、竣工引き渡しに間にあわせる方法です。

 

多くの飲食店経営者は、工事の遅れ、オープン日の遅れをいつも心配している

工事の遅れは、私の事務所に来る相談の中でも、多いです。

 

オープン日が決まっていて、そのチラシをすでにまいてしまっているのに、引き渡しを受けることが出来ずに、工事途中でいきなり私に「助けてほしい!」などと電話で言ってくる。

このケースは、最後に裁判に発展してしまいましたよ。

 

この様なケースになってしまう原因は、いくつもあるでしょう。

 

例えば

もともと、計画が甘く、工期が少なすぎることもあるでしょう。

計画がしっかりしていなくて、途中設計変更がたくさん出て間に合わなくなるケースもあるでしょう。

そもそも工務店のレベルが低すぎて、工事が遅れることもあるでしょう。

 

監理者から言わせてもらえば、間違いなく、竣工引き渡しを期日通りにする方法は、契約書(その仕方も含めて)を変えることです。

 

契約書そのものの文言によって、ほとんどのケースで遅れを防ぐことが出来ます。

 

多くのクライアントは、「工事業者」が作ってきた契約書に印を押します。

 

その契約書の約款は、旧四会(日本建築士会連合会、日本建築士事務所協会連合会、日本建築家協会、日本建築業組合)のものです。

 

これは工事業者色が強く、例えば、

紛争が生じた場合は、建設工事紛争審査会による解決を図ることもできるとされています。

しかしこの機関は、建設業者に行政上の指導監督を行うことや、技術的な鑑定を行う機関ではありません。

瑕疵についての判断はしないのです。

専らあっせんと「調停」によってその解決を図るものです。

また、建設業者の方が建設工事紛争審査会へ事件を申請して申請人となった場合、あるいは被申請人となった場合でも、建設業の許可や公共工事の入札等で何ら不利益を被ることもありません。

 

紛争まで発展するのは、やはり技術的な問題が出た場合ではないかと思うのです。

なのでここへ話を持って行って、仲裁判断がなされた場合には、一定の例外を除き、確定判決と同一の効力を有し(仲裁法45条1項,2項)、当事者は仲裁判断に拘束され、これに対し、不服申立てをすることも許されなくなります

このように「仲裁合意」をすれば、その範囲において、当該合意をした当事者は、裁判を受ける機会を失うことになります。

裁判へ持ち込めなくなってしまうと、クライアントには大変不利になってしまいます。

さらにそもそも、この審査会は、建設会社の建設業許可の都道府県でおこなうものなので、例えば建設会社の所在地が東京であれば、東京まで通わなければならないのです。

多くのクライアントは、紛争まで至らないことが多いので、この約款の効力など知らないのです。

 

履行遅滞、違約金ですが、この項目は昔の四会の約款にはなかったものです。

 

契約期間内に契約の目的物を引き渡すことができない時は、

遅滞日数1日につき、請負代金額から工事の出来形部分と検査済の工事材料・建築設備の機器に対する請負代金相当額を控除した額の4/10,000に相当する額の違約金を請求することができる。

 

つまり簡単に言うと、残工事金額を出し、その金額に対して、1日当たり4/10,000払わないといけませんよということです。

これはかなり生ぬるいです。

 

飲食店舗などは引き渡しを受けなければ、営業できないわけで、部分引き渡しでは利益が出ないわけです。

残工事の金額を出しても解決しないわけです。

 

約30年前に、私が設計監理者として入った約款には、

1日遅れると、工事金額全額に対して、1/1,000(一桁違う!しかも請負金額に対してのもの!)の支払い義務が明記してあり、さらに怖い事には、丙(監理者)もその責任対象となると記述されていました。

これには厳しい!と感じたものです。

レベルの低い工務店と組んでは、私の設計料も日々目減りしてゆく!と感じたものです。

 

工務店側もこれを見て同様に、引き渡し期日(オープン日)の厳しさを感じたのです。

 

この様に厳しい約款ではあるものの、設計図、仕様書の添付もあり、それらで契約を交わしているので、設計監理者としては、自分が設計して把握・コントロール出来ているものであり、責任所在もはっきりしていて、納得できるものでした。

 

クライアント側は、ぜひ会社計画に沿った、「オリジナル約款」を作ってみてください。

これを作ることによって、あなたの会社が、社会に対して何に最も価値を置いているかを明確にできます。

もちろん社員も同時に理解しますよ。

そして発展する会社への第1歩ともなるのです。