まだ私が、三共設計事務所に勤務していた頃の話です。

20代後半の頃です。

2人の先輩建築士(24歳上の指導的立場の先輩建築士と2歳上の同僚建築士)と仕事帰りに、ビールでも飲もうということになり、憂さを晴らすことになった。

入ったお店は、味仙と記憶している。

なぜなら私にとっては、非常に辛い思い出とともにあるので。

ピータン豆腐や、青菜炒めなど食べながら、美味しく、楽しくビールを飲みほしてゆき、〆の台湾ラーメンへと進んでいった。

何気ない話の中で、好きな映画の話になっていった。

先輩建築士が、僕らに好きな映画は何?と聞く。

同僚建築士は、そうだね~、スタンリー・キューブリックの2001年宇宙の旅かな?などと答えていた。

私は、シドニー・ルメットの12人の怒れる男かな。

ご存知ない皆さんに簡単に、あらすじをご紹介します。

 

法廷ものサスペンスで、父親殺しの罪に問われた黒人少年の裁判で、陪審員が評決に達するまで一室で議論する様子を描く。

法廷に提出された証拠や証言は被告人である少年に圧倒的に不利なものであり、陪審員の大半は少年の有罪を確信している。全陪審員一致で有罪になると思われたところ、ただ一人、陪審員8番(ヘンリーフォンダが建築家として出ている)だけが少年の無罪を主張する。彼は他の陪審員たちに、固定観念に囚われずに証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求してゆくのです。

さらに詳しくは、ウィキペディア参照 https://ja.wikipedia.org/wiki/十二人の怒れる男 を見てください。

 

私は好きな映画なので、熱弁していました。そしたら・・・

先輩建築士は、私に対して、「スーパーマンが好きなのね。」と言われてしまって。

思わず箸が止まってしまいました。

今まで自分ではあまり意識して感じてこなかった、自分の根底にある思いや、信念です。

台湾ラーメンが辛すぎて、むせそうになったことも憶えています。

これは独立前に知っておいて本当に良かったと思っています。

独立すると、仕事が欲しいあまり、あらゆる人がクライアントに見えてきます。

そんなときどうすればよいのか?

建築費用は3000万掛かりますが、お金ありますか?

などとは聞けません。

多くの独立間もない建築士さんは、無料で図面を作成しています。

営業の一つだと思っているかもしれません。

これでは、あなたが今まで培ってきた大切な技術の無駄遣いです。

クライアントと話をして、お金が有る、無いというような話の前に、その人がリスクを取ってでも、社会的な貢献をしてゆくんだといった、信念があれば、私の場合は、応援してゆきます。

クライアントが成功したら、私も喜べるし、こんな嬉しいことはないでしょう。

一生付き合っていけるクライアントにもなります。

そんなクライアントであれば、計画図面の1、2枚は、無料で応援する。

リスクを取ろうとしない人は、なんとなく話で分かります。社会的な責任を全うしない人だなと、感じたら、逆に応援してはいけない。

私たちはスーパーマンではないんで、来る者すべて拒まずではなく、自分の信念に合ったクライアントを選ぶようにしないといけません。

さらに言えば、簡単な計画図面の作成が、営業の一つとあなたは考えているならば、すぐに考え直してください。

そんなことをするより、すぐにマーケティングをすべきなのです。