クライアントの相談で、多いものに1戸建ての中古住宅購入のアドバイスがある。

建築事務所に新築をお願いするお金がないけれども戸建てが欲しいという人たちです。

中古住宅を購入し、あれもこれもリフォームすると、結局は新築と同じ金額になってしまうのですが、、、

不動産業者も売りたいがために、勧めることはするけれどもそれ以外の欠点は、なかなか話さない。

今は既存住宅状況調査技術者資格などの法整備もされ、中古住宅のストック活用や、マーケットも整ってきた。

しかしそれら報告書の前に、包括的・横断的なアドバイスをしないといけないと感じてもいる。

そんなクライアントさんにアドバイスをするとしたら、以下の項目になると考えている。

これは欠陥住宅の調査で有名な澤田和也弁護士さんの本を参考にしたものである。

そしてわたしは、クライアントがアドバイスを求めてきたときに、渡しているものです。

建築士の皆さんに、ご利用いただければ幸いです。また追加、変更した方がいい項目などがあれば、メールください。Verをアップしてゆきます。

 

中古住宅購入チェック項目8 Ver1.0

1.確認通知書及び検査済証の有無を確認する。

2.確認通知書と建物現況との一致、不一致を確かめる(不一致がある場合には、構造面での違法も予想されるので、使い勝手がよく立地条件やデザイン・仕上げが気に入っていても見合わせる)。

3.上記点検の際、柱寸法を計ってみて、確認通知書の柱の小径が守られているかを確かめる。また、業者に火打梁や火打ち土台、筋交いなどが入っているか否か、どこに入れているかをたずね、場合によっては念書を取る。もめるときは契約を取りやめる。

4.公庫融資住宅の場合は、確認通知書に添付されている矩計図(かなばかり)にある形態どおりの基礎や図示どおりの柱や内装下地材が使われているかについては通常内外装材に覆われていて直接見られないので、出来れば、業者から間違いなく施工している旨の念書をとる。単に公庫融資対象物件だから安心だなどと軽信しない。公庫融資対象物件にも構造の手抜きは多々見られる。

5.周囲地形に注意を払う。特に切り土、盛り土によってできている雛壇式造成地で擁壁が高い場合には、業者に宅地造成法規制法による擁壁の検査済証(宅造区域の場合)、又は工作物の検査済証を求める。特に擁壁に接近して家が建てられている場合には(擁壁から建物までの距離が擁壁の高さより小さい場合)、注意を要する。鉄筋コンクリートづくり擁壁の上にブロック擁壁が継ぎ足されている場合は、上記の宅造法、工作物申請のチェックを受けていない恐れがあるので買うのを差し控える。また地名にも注意し、海や水に関係していたり、(谷、津、江など)ボウ、ホウなどの呼び名は崩落地形などを指し、歴史的由来を示しているので、特に地盤や基礎に気をつける。

6.水を流し給湯器に点火するなど、設備機器の作動点検をするとともに、排水の状況がスムーズかを調べる。床下換気口を開けて、床下の湿気の有無や排水からの水漏れがないかどうかを点検する。

7.建築士と同行し、木と木の接合部(仕口、継手)の出来具合などを点検してもらって、標準的な施工かどうか、または標準的な品質性能を持っているかどうか見てもらう。検査費用は購入費用に対してわずかであるので、将来のリフォームの相談と合わせて、前もって打ち合わせしておく。

8.契約に際しては立面図、平面図のほか、矩計図(かなばかりず:家を縦に断ち切って断面の構造などを示した書面)、できれば床伏図などの構造に関する図面の交付を求める。契約書中に、法律や公庫基準(公庫融資住宅に場合)、建築関係法令に従った施工がされているという確認や保証を記載することを求める。そしてそのような箇所が発見された場合には契約の解除をする旨の明示の合意を求める。また、瑕疵担保期間の延長を求める。通常は、瑕疵担保期間を購入後1年ないし2年に短縮しているが、骨組みや基礎の欠陥はその期間に発見されない場合が多いので、その瑕疵担保期間の短縮の合意を抹消する(抹消すれば民法の定めの木造では5年、鉄骨などでは10年の期間となる)。また平成12年4月に消費者保護の観点から品確法が施行されましたので、「基本構造部分」に10年間の瑕疵担保期間を確認すること。

以上です。ご活用ください。