私たち建築士でセールスにおいて一番必要なものは、ポジションです。
先生としての立場と言ってもよいかもしれません。
1,2度の打ち合わせの中で、これを構築しないといけません。
見込み客との間で、このポジションに立つことが出来て、はじめてセールスすることが出来ます。
先生のポジションに立つときの始まりは、見込み客が、あなたの考えに対して、聴いてみたいという姿勢になることです。
ちょっと興味が出てきたので聴いてみたいという心境、さらにその考えに同意するといった状態に進んでゆきます。
つまり・・「あなたとお客様が、どっちが先生になっているか?が最も大事」
お医者さんの言うことは誰もが聞くように、あなたがその立場になることで、価格交渉にもなりにくいのです。
過去、私にはこのポジションを作れず、2人のクライアントを逃したことがあります。
1人目は、OMソーラーのお客様。
その時私は、OMソーラーの存在は知っていたけれども、講習を受けたこともなければ、その機器の供給も受けられない状態。
そんな中で、受注したいがために、クライアントとの打合せを伸ばして、浜松まで講習に行ってきましたが、ついに結局流れてしまいました。
信頼の構築、つまりポジションができませんでした。
2人目は、木造住宅での免振工法をご希望のお客様。
このクライアントも自分なりに良く調べられて、来られました。
免振がすべてになっているお客さまでした。
これも設計を進めてゆくと、免振開発メーカーに依存しなければならず、私の方からお断りしました。
今は顧客が自分で調べて望むものがはっきりしています。
設計と言うより、ある特定の分野やメーカーに心惹かれて、住宅を建てたいと考えられる方が圧倒的に多いです。
住宅は何十年と住み込んでゆくものですが、多くのクライアントが何かにとりつかれたように、一つの情報に振り回されて、一つの回答を求めています。
OMソーラーや免振工法が、「正解」と考える人たちです。
私たちは、その時、それを後追いで身につけようとしても、すぐには先生のポジションは築けません。
素直に、経験がありませんとか、125万円かかりますとか、本当にいいものかどうか私にはわかりませんと伝えましょう。
あなたが今感じている、本当に設計したいことを、情熱をもって伝えることしかできません。
メーカーが開発したような機器や、その細かな収まりのスキルなどなくとも、情熱があれば売れるのです。
だが情熱がなければ、どんなスキルがあっても売れません。
お客様が最後に契約書に判を押すのは、あなたの真剣な思い・理念や情熱に共感するからです。
そのマインドを忘れずに進んでいってください。