初めて設計の契約をいただける時は、うれしさのあまり、心がおどりますね。

建築士であるあなたも、少しでも早く、契約をして、体験してみてください。

契約をすることによって、あなたの成長スピードが、格段にアップします。

これは経験したことの無い人には、なかなか実感としてわからないと思います。

 

クライアントと打合せをかさね、本音を引き出し、未来の生活を創造し、クライアントとその未来を共有しながら、今所有されている家財道具の量なども考慮に入れ、家族間の調整もおこなって・・・設計してゆきます。

そして事務所内では法規チェックから、近隣建物の窓位置や、景観なども考慮に入れ、プラン提出後、初めて契約の瞬間が訪れます。

 

今までの経験で、契約できなかったり、上手くいかなかったことももちろんあります。

その原因を考えると、それはプロセスの「はざま」にある事が多い。

ほとんどの設計者は、自分で考えだした、仕事の流れがあると思います。

しかし私の経験から、そのプロセスが、あまりにも大きすぎるのではないか?と言いたい。

そのプロセスの「はざま」に原因が存在していると言いたい。

そして知らぬままに進めていった結果、後になっての大きな設計変更や、ひどい時には契約の反故につながってしまうのです。

プロセスの「はざま」に存在した、その時に絶対に必要な確認事項を、飛ばしてしまっていることが原因です。

独立の初期のころは、石橋をたたいて渡る様に、くどいぐらいに打ち合わせを重ねる。

それによってほとんど問題は起きない。

しかし設計業務に慣れてくるころに、そのプロセスを飛ばして進めてしまうことがある。

つまり失敗した物件の多くは、そのプロセスをより詳細にかつ明確に文書化しておけば、かなりの確率で問題をなくせただろうと思うのです。

初めの顔合わせから、クライアントの住まいに関する思いや考えを引き出す手順や方法だったり、今住んでいる住宅の調べ方だったり、現場の地盤データを請求したり、土地の360度写真を撮ったりと、より細かなプロセスを創り出して、それをこなしてゆけば、おのずと契約でき、竣工までもトラブルが出ずにできてゆきます。

プロセスを書き出すことによって、以下の利点が生まれます。

 

☑プロセスを可視化できるため仕事の効率を高めることが出来る

☑社内、社外、クライアントとの共通認識を創り出すことが出来る

☑改善点に気が付きやすくなる

☑プロセスを迅速に改善できる

☑不必要な仕事が分かる

☑仕事の理解が早まる

 

私たちは建築の設計を、プロジェクトと取りがちです。

建物の竣工まで何度も経験したことがあれば、あなたは設計監理業務を、プロジェクトではなく、プロセスだと感じていることでしょう。

ウィリアム・エドワーズ・デミングも、「自分のしていることを、一つのプロセスとして説明できないなら、自分のしていることが分かっていないということだ」と言っています。

あなたの頭の中にあるプロセスを、社内でだれでもが使えるようにプロセスとして書き出していますか?

そしてそのプロセスに沿って、クライアントとの交渉に臨んでいますか?