今までの経験で、2,3回の配置・平面のラフプランを作成した後、設計・監理報酬の金額をクライアントに提示すると、感触は良くても、それ以後音信不通になることがある。
知り合いの事務所経営者に聞いてみても、これはよくあること。
このようなクライアントは、他の事務所やハウスメーカーなどと天秤にかけながら、うちの事務所に来ていることがほとんどだった。
事務所を始めたばかりの方は、クライアントの本音をすばやく判断しなければいけない。
これが出来ないのは、私たち自身が、クライアントを逃してはいけないという、弱い心が、目を曇らせている。
つまりプランを無料で作成をさせている。
心の弱さを無くし、反省しないといつまでたっても同じ過ちを繰り返してしまう。
基本的には、図面を描かないと契約してくれないクライアントに対しては、仕事を引き受けない。
最初から契約や報酬の話をした方が、仕事として継続することのほうが多い。
やはり「ど頭」で、こちらの建築設計者の業務内容を説明し、設計に対する姿勢を示す。
ここに数時間をかけて、きちんと十分説明をする。
全体計画をまとめる能力の価値や、設計者と施工者の立場、コスト感覚などに理解してもらう必要がある。
そしてクライアントが漠然と抱えている不安を解消して、初めて話が前に進む。
契約前には、相談までとし、実際の線はひかない(設計はしない)。
つまり我々の仕事はアイデアの提供が仕事であるという考え方も受け入れてもらう必要がある。
それでもプランで判断したいというクライアントに対しては、設計予約申込書をいただいている。
これは着手金の一部となり、本設計に充当する。私は金額を10万円に設定している。
これでクライアントの本気度が分かる。
この書類のフォーマットは親友の工務店社長からいただいたもの。
工務店だと、設計事務所とは比べものにならないくらい、頓挫する計画が多いと聞くので、必須の書類なのだろう。
設計予約申込書が欲しい方は、メールください。送ります。
普通は、数回の打ち合わせを重ねて、互いに納得できる状態になってから契約するようにしている。
契約書には、着手金の支払い後に業務開始をすることを記載し、口頭でも伝える。
契約書を交わしても、着手金が入金されるまで業務に取りかからない。
またクライアントから、銀行融資などに必要な設計図書を求められることがある。
そんなときは、概算見積もりとラフスケッチを提出する程度にとどめている。
計画段階では単線のラフスケッチと概算見積書があれば、銀行からの融資の手続きには十分対応できる。
それ以上の書類を銀行や発注者が要求した場合、書類作成には費用がかかることを説明する。
報酬について定めた契約書を受け取るまでは作業できないと伝える。
これらのことでほとんどうまくゆく。
あとは自分がクライアントを見抜く力を時間をかけて上げてゆこう。
こればかりは、いろんな方と知り合って、関わりあってゆかないと備わってゆかない。