私みたいな一人事務所の場合でも、経理やお金の管理は誰かがしなければいけません。
仕事が少ないうちはまだよいのですが、実際に、設計監理の仕事が重なって入りだすと、忙しすぎて、とても手に負えなくなります。
そうするとどうなるか?
ほとんどの小規模事務所の場合、奥さんにまかせっきりになってしまいます。
お金に関しての情報は、所員より奥さんが知り、取り扱うなら大丈夫だろうと安心できるからです。
もちろん所員には、図面をすばやく、そして休む暇なく描いてもらいたいという思いもあります。
そしてこの状態が長く続くと、事務所を回すために、所員を増やしたり、組織化したり、もっと多くの仕事を取ろうと考えたり、そのためのDMや広告を出したいといった時に、奥さんにお伺いを立てないといけなくなります。
特に時間が空いて、ビジネスを加速したいと思って、新たに勉強したいときなどは、反対されることもあるでしょう。
結果、説得が面倒になって、意欲を失ってゆくことも起こってきます。
そして必要なお金さえ使わなくなってきたら、その事務所は危機的状況と思わなければいけません。
全ての会社で同じようなことがあるとは言いませんが、建築事務所の場合、細々でも仕事が続いていくうちは、経営意欲が下がることはよくあると思います。
なので、新たに独立する人や、独立後、間もないあなたには、次の2つをアドバイスいたします。
- 事務所の経理やお金の管理は、奥さんに任せずに、初めから税理士または会計士を入れること。主導権を渡さないこと。
- あなたの給与や役員報酬は、奥さんに知らせないこと。
です。
そして、すでにそうなっている事務所には、どうやって経理の主導権を取り戻すのか?
いきなり、明日から経理は他の人に任すからと言ってしまうと、奥さんから大きな反発が生まれます。
時には、家庭がぎくしゃくする事にもなってしまいます。
なので、人を変えたかったら、まず初めに、自分を変えないといけません。
つまり、もっと稼げということしかないのです。
事務所の売上げを上げ、自分の収入も上げた後に、経理を税理士や会計士に任せていくと伝えるのです。
そして奥さんには、お金の管理もプロに任せる時が来た、と伝えるのです。
さらに、奥さんには、新たな役割も伝えます。
会社での役職もその一つですが、所長個人の生活にかかわるものであればさらに良いでしょう。
例えば、所長の健康管理等です。
お金だけでなく、事務所の所長に主導権がないのであれば、それは誰かに頼っている状態です。
つまりビジネスは危険な状態だと言えます。
責任と共に主導権を持ち、事務所をコントロールしていってください。
経理を取り戻すということは、事務所の運営を健全にコントロールする第1歩です。