かなり長文です。お許しください。
私の事務所を安定経営へと変えてくれたクライアントさんとは、藤田 田(でん)さんです。
当時まだマクドナルドが100店舗に満たない数だったと思います。
そこで私は大きな気づきを得ることになります。
それは、
お客さんを定めることができれば、そこに営業に行くことができる。
こちらから(勝手に)お客さんを決めればいい。
ということです。
個人の住宅設計やリフォームを相手にしてゆくと、見つけにくいし、探しにくいし、安定しない。
法人を顧客にした方が、売り上げ的には、事務所が安定するということです。
もちろん住宅作家として有名になってしまえば、仕事がこちらに近づいてきてくれでしょう。
開設したての事務所では、実家の建て替えや親戚のリフォームしかない。
つまり、問題点の
5.そもそもお客さんがどこにいるかわからない。
を、有望なフランチャイズオーナーが、私のお客さんだと、勝手に私から決めればいいのです。
ほぼその当時の1~5の悩みが消えたのです。
自分が決めたオーナーに電話を掛ける、営業に行く、契約を取る。
そして実績が出来れば、それを持ってほかのフランチャイズオーナーのところへも行くことも出来ます。
またフランチャイズビジネスというものに接してゆくにしたがって、私はその面白さや、内実がわかってきます。
たとえば多店舗展開がうまくいっているオーナーと、そうでないオーナーの違いです。
上手くいっていない経営者は、飲食店経営のマインドから抜けきれておらず、建築・不動産のビジネスマインドに移行していません。
どちらが良い悪いはないのですが、多店舗展開をするならば、パラダイムシフトを起こさないといけません。
皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、フランチャイズビジネスは、店舗の売り買いです。
これを極めようと思えば、建築・不動産マインドにならざるを得ません。
藤田田さんが、初期に雇った建築事務所は、株式会社日本設計です。
日本で2番目に大きい組織事務所です。
そこを中心として、建築ノウハウを吸収していったのです。
多くの飲食店オーナーが、お店造りの時に、親しい工務店に、設計施工で「良い店を造ってね!」「なるべく安くね!」と言うだけではないのです。
設計図書、契約書、約款、工程管理、工事区分、支給品等々、本社がコントロールしながら、より安くて価値のあるものを造り出すシステムが、ワンパッケージで完成しています。
もちろん店舗毎に売上を上げる店づくりのノウハウもたくさんあります。
その面白さは、
藤田田の考えぬかれたフランチャイズビジネス
に記しておりますので参考にしてください。私が言っては何ですが、特に飲食店ビジネスをしている方、多店舗飲食店経営者には目からうろこでしょう。
私の事務所も約5年経ち、開設初期にはいろいろと不安定だったものが、安定経営に移行してきました。
ここでの大きな学びは、建築設計事務所の世界では、創造的な仕事として追及すればするほど時間がとられ、仕事量が増すという不都合な真実です。
逆に儲かる仕事は規格化された仕事で手離れしやすい。
こうして弊社はフランチャイズ店舗の設計監理を中心に経営を進めてゆくのですが、長く続けてゆくと、どんな企業でも起きることがあります。
それは仕事の系列化の問題です。
発注者と受注者の関係変化です。
常に同じであればいいのですがそんなことはありません。
設計事務所業界も変わりがありません。
仕事量は増え続け、逆に設計料が下がることもあるわけです。
この状態は、30代から40代へと長く続いたのですが、知らぬ間にいろいろな問題をはらむようになってきていました。なかなか解決できない問題でした。
その時の問題は、
- とにかく仕事量は増大し続け、設計料はなかなか上がらない。
- 工期短縮も厳しさを増す。図面締め切りに合わせるためにハードワークが続く。
- これは自分だけの問題ではなく、構造的な問題のため、変えられない。
40代半ばぐらいから、仕事は潤沢にあるのですが、売上等を維持し続けてゆくと、いつか体が壊れてしまう。倒れてしまう。そうしたらそこで収入が途絶えてしまう。そんな危機感さえ生まれてきていました。
これは結局、受けだした後からわかることですが、私自身のマインドからくる弱さだったのです。そのマインドとは・・・ 第2話はここで終わります。